通信制高校ってなんだろう?簡単にわかりやすく10のポイント 更新時間 2022.11.08
通信制高校というと、「不登校」や「中退」といったネガティブなイメージを持っている人が多いのではないでしょうか?
しかし近年、自由度の高い通信制高校のあり方に注目が集まり、中でも私立の通信制高校の人気は伸び続けています。
この記事では、「通信制高校に興味はあるけどよく分からない」という方に向けて、以下の10個の項目をまとめて解説したいと思います。
- 1. 通信制高校ってどんな学校?
- 2. 通信制高校と全日制高校との違い
- 3. 通信制高校に通っているのはどんな人?
- 4. 通信制高校の勉強方法は?
- 5. 通信制高校に通うメリット・デメリット
- 6. 通信制高校にかかる学費や無償化について
- 7. 通信制高校を卒業するための条件
- 8. 通信制高校を卒業したあとの進路
- 9. 通信制高校へ入学・編入・転入する方法
- 10. サポート校とは?
通信制高校がどんな場所か知ることで、あなたの進路の選択肢が大きく広がるでしょう。
通信制高校ってどんな学校?
高校には「全日制」「定時制」「通信制」の3つの教育課程があります。
平日の日中に学校へ登校して学ぶ全日制高校、夕方から夜間にかけて登校する定時制高校。
そして自宅で学習しながら学校へレポートやテストを提出し、月に数回もしくは年に数回のスクーリング(面接指導)を設けているのが通信制高校です。
毎日学校へ通わなくても、全日制や通信制と同じような高校卒業の資格が取得できます。
通信制高校と全日制高校との違い
通信制と全日制の違いはたくさんありますが、ここでは大きく異なる以下の3点について解説していきます。
- 1. 単位制と学年制
- 2. 入学試験
- 3. 入学時期
単位制と学年制
通信制高校の多くは「単位制」を採用しており、全日制は「学年制」を採用しています。
どちらも「必須科目を含む74単位以上を習得」することが学校教育法で定められていますが、単位の取得方法が異なるのです。
学年制は1年間で取得すべき単位や単位数が学校で決まっていて、単位が足りなければ留年して1年間やり直す必要があります。
一方で単位制は、1年間に必要な単位を生徒自身が決めて学習を進めるため、「留年する」という概念がありません。
ただし、どちらの学校も「3年以上の在籍期間」が必要です。
入学試験
全日制高校へ入学するには、公立は5科目、私立は3科目の試験を受ける必要があります。
また定時制も国語・英語・数学の入試があり、合格のための偏差値ラインのようなものを設けているのが特徴です。
そのため自分の学力に相応する高校しか選択肢がなく、志望高校へ通えないケースも少なくありません。
一方で、通信制高校は学力試験を設けておらず、ほとんどの学校が「面接」や「作文」のみで入学が決まります。
学力で受験生をふるいにかけることはなく、面接を通して人柄を理解し受け入れるのが通信制高校の入試スタイルといえます。
入学時期
全日制と定時制高校の入学時期は4月に限定されているのに対し、通信制高校は4月・10月に入学できるケースが多いです。
病気や不登校などで4月のタイミングを逃してしまっても、10月の入学で同級生と並んで学ぶことができます。
また学校によっては通年入学OKの高校もあり、他校を中退しても編入しやすい体制が整えられています。
通信制高校に通っているのはどんな人?
通信制高校の学習スタイルは自主学習になり、自分のライフスタイルに合わせて学習計画を立てることができます。
また登校回数も少なく、テストやレポートもオンラインや郵送で対応できるのが特徴です。
そのため、働きながら高卒の資格取得を目指す人や、病気や不登校などで全日制高校に通えなくなった人、高校を中退した人などが通っています。
近年は「学業以外の活動に集中したい」という理由で通信制高校を選ぶ人も増えており、プロスポーツ選手やアイドル、起業家などの学生も増えているようです。
そのため20代や30代、少ないですが50代以上の学生もいるのが通信制高校の特色といえます。
通信制高校に通うべき人について詳しく知りたい方は是非 「通信制高校は不登校の人が行くものではない!通信制高校に行くべき人は?」を参考にしてみてください!
通信制高校の勉強方法は?
全日制や定時制高校と違い、通信制高校は自主学習とレポートをメインに学習を進めます。
学校によってはオンライン授業にも対応しており、分からないところがあればメールや電話を使って先生に質問するスタイルです。
またテストの頻度も異なり、通信制の場合は年に1回くらいしか試験がありません。
そうなると「勉強しないんじゃないか?」と不安になると思いますが、学校によっては個別で卒業をサポートしてくれるところもあります。
自由度の高さが通信制高校の魅力でもありますが、卒業するためには「本人の強い意志」と「自己管理力」が重要になるでしょう。
通信制高校に通うメリット・デメリット
通信制高校に通うメリットとデメリットをまとめました。
通信制高校のメリット
全日制・定時制高校と比較したときの、通信制高校のメリットは以下の通りです。
- 1. 自分のペースで学習できる
- 2. 自由な時間が増えることで趣味や夢に打ち込める
- 3. 不登校でも卒業しやすい
- 4. 厳しい校則がない
- 5. 専門課程コースで在学中に資格が取得できる
通信制高校にも公立と私立があり、とくに私立高校の卒業サポートや施設・設備は整っています。
不登校や発達障害の生徒に対する学校側の受け入れ体制も充実していて、カウンセラーが常駐していたり、専門家との相談窓口があったりする学校も少なくありません。
また「学校に馴染めない」「いじめを受けたことがある」など、同じ悩みを抱えた生徒がいることも心の支えになるでしょう。
5番目の「専門課程コース」とは、さまざまな専門分野が学べるカリキュラムです。
美容やファッション、IT、医療、福祉、スポーツなど、プロの講師を招いての特別講座が受けられたり、在学中に資格が取得できたりします。
このような学習が実施できるのは、通信制高校だからこそ叶えられるメリットといえるでしょう。
通信制高校のデメリット
通信制高校のデメリットは、以下の3点です。
- 1. 自主学習のため自己管理が必要
- 2. 先生や友人との関わりが少ない
- 3. 学校行事や部活動が充実していない
先述した通り、通信制高校は自主学習なので、自分で計画をたて勉強を実行する管理力が必要です。
「来年まとめて単位を取ろう」など勉強を後回しにしていると、3年間で卒業できなくなるでしょう。
また登校日が少ないため、先生や友だちと関わる時間も制限されます。
毎日顔を合わせないので、全日制や定時制と比べて新しい友だちが出来づらい環境です。
また学校生活を楽しむための学校行事も、全日制と比べると少なく、必要最低限しかありません。
ただし私立の通信制高校はイベントや学校行事に力を入れているところもあり、文化祭や体育祭のほか、遠足やクリスマス会などをリアルとネットで体験できる学校もあります。
「高校生活を満喫したい」という方は、公立よりも私立の学校を選ぶといいでしょう。
通信制高校のメリット、デメリットについて詳しく知りたい方は是非 「通信制高校のメリットとデメリットを徹底比較!新型コロナでも通信制高校なら大丈夫!」を参考にしてみてください!
通信制高校にかかる学費や無償化について
令和2年4月から、私立の通信制高校でも「就学支援金制度」が利用できるようになりました。
この制度よって負担する学費が大幅に減少し、世帯年収590万円未満の家庭は私立の授業料が「実質無償」です。
以下に、世帯年収ごとの就学支援金の支給額をまとめました。
世帯年収 | 公立 | 私立 |
---|---|---|
590万円未満 | 336円/単位(授業料は実質無償化) | 最大12,030円/単位(授業料は実質無償化) |
590万円~910万円未満 | 336円/単位(授業料は実質無償化) | 4,812円/単位(負担分は自己負担) |
就学支援金制度は国が学費の一部を負担してくれる制度で、卒業しても返済する必要はありません。
ただし、以下に該当する方は利用できないので注意しましょう。
・高校などを一度卒業した人 ・高校などに通算36ヶ月より多く在籍している人就学支援金は入学金や教材費といった授業料以外の費用には利用できず、あくまでも授業料のみが対象になるので注意してください。
通信制高校の費用、無償化について詳しく知りたい方は是非 「通信制高校の費用はいくら?無償化や支援金を徹底解説」を参考にしてみてください!
通信制高校を卒業するための条件
通信制高校は、以下の3つの条件を満たせば卒業資格が得られます。
- 1. 3年間で74単位以上を習得する
- 2. 30単位時間以上の特別活動
- 3. 3年以上の在籍
2番目の「特別活動」とは、ホームルーム活動や学校行事、生徒会活動などへの参加を指します。
特別活動は1回50分の授業を30回出席しますが、自宅から活動に参加できるもののあります。
しかし友だちとの交流が少ない通信制の学生にとっては、特別活動が新しい友だちを増やす絶好の機会になっているようです。
通信制高校を卒業したあとの進路
文部科学省の調査によると、平成30年度の通信制高校卒業者の進路は以下の通りです。
- 1. 専修学校(専門課程)進学 …21.2%
- 2. 大学等進学 …18.5%
- 3. 就職 …19.6%
- 4. その他 …40.7%
専修学校や大学に進学した人は全体の40%ほどで、就職している卒業生は20%近くいることが分かります。
「その他」の割合が40%と非常に高いですが、ネガティブな理由だけが含まれているのではありません。
通信制高校には、在学中から芸能活動やアイドル活動、プロスポーツ選手を目指している人も多いため、卒業して活動を継続している人も含まれています。
通信制高校へ編入・転入する方法
通信制高校へ入学するには、3つの方法があります。
- 1. 新入学
- 2. 編入学
- 3. 転入学
1.新入学
1年生(カリキュラムの最初)から入学する方法で、主に4月と10月に行われます。
1〜3月ごろに入試がありますが、筆記試験は行わず、面接や書類のみという学校が多いです。
ただし、大学受験コースを選択した場合は学力試験を行うケースもあるので、行きたい高校があれば事前に確認しましょう。
学校の資料を取り寄せるのもいいですが、学校の説明会やオープンキャンパスに積極的に参加して、在学中の生徒の様子や学校の雰囲気を直接感じてみるのもおすすめです。
色んな学校を見比べることで、自分の理想に近い高校生活が送れるようになるでしょう。
2.編入学
高校中退者や帰国子女など、すでに単位を習得している人がカリキュラムの途中から入学する仕組みが「編入学」です。
通信制高校への編入を希望する場合、在籍していた高校に「成績・単位習得証明書」や「在籍証明書」などの必要書類を発行してもらわなくてはなりません。
また編入は、転入と比べると入学可能時期が限定されているため、事前に確認した上で学校を決めた方がいいでしょう。
すぐに編入したくても、4月や10月まで待たなくてはならず、その分卒業できる時期も遅れてしまうことになります。
もし今の高校を辞めて通信制高校へ入学しようと考えているなら、中退はせずに転入する方がスムーズに進むでしょう。
3.転入学
高校に在籍したまま、別の高校に移ることを「転入学」といいます。
同じ学年をやり直す必要がなく別の学校へ入学できる、よく聞く「転校」と同じ仕組みです。
転入学の場合、入学は随時可能という学校が多いので、空白期間が生じないのもメリットになるでしょう。
サポート校とは?
通信制高校に通う生徒の中には、サポート校を利用している人もたくさんいます。
サポート校とは、通信制高校に通う生徒に対し、単位取得や卒業のためのサポートを行う学校です。
不登校や学力不振などが原因で学習が進みづらい生徒に向けて、勉強や精神的なフォローなどに対応してくれます。
しかしサポート校は「高等学校」とは違い、3年間通っても高卒の資格は得られません。
必ず通信制高校への同時入学が必要になり、学費も二重でかかることになります。
通信制高校は自主学習という体制上、一人の力や意志で卒業することが容易ではありません。
そのためサポート校が手厚くフォローし、苦手な科目を強化したりレポート作成をフォローしたりして、卒業できるよう助けてくれるのです。
通信制高校に通って高校を卒業しよう!
通信制高校の仕組みや役割、全日制や定時制高校との違いについて解説しました。
簡潔にいうと、毎日通学する必要がなく、自宅でレポートやテストを受けて単位を習得し、高校卒業の資格を取得できる高校です。
以前は「不登校」や「中退」のイメージが強かったですが、近年は専門分野が学べたり、大学受験コースがあったりと、さまざまな生徒のニーズに応えられるような学校になっています。
自分のスタイルで学習を進めたい人、高校生のうちに打ち込みたいことがある人、手厚いサポートを受けたい人は、通信制高校の仕組みに向いているでしょう。
興味がある方は、どんな通信制高校があるのか調べてみることをおすすめします。